[書評]憂国 三島由紀夫

読書

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

三島由紀夫の「憂国」を読みました。

要約すると、自分の部下が相手方に寝返ったが、自分は部下を斬れない。なので責任を取って自害する。新婚の妻を道連れにして。

道連れと言っても先に自害するのは主人公であり、自分の死を見届けてからついてきてくれということ。なので妻には死なないという選択肢もあったが、夫の言う通り見届けた後自害します。

さすが三島由紀夫なだけあって、日本語が美しい。わずか30ページほどの内容でしたが、食い入るように一気読みしてしまいました。

そして憂国を読んだ日がなぜか2月25日の夜、しかももうすぐ日が変わるような時間帯。

この本の題材は2.26事件。

読んでいる時は全く気づかなかったのですが、翌日のXの話題で2.26事件が出ていて少し鳥肌が立つ思いでした。

この本自体は1年前くらいに買ってそのまま積読になっていて、ふと思い出してなんとなく手に取って読んだだけ。

まあ単なる偶然だと思いますが、ちょっと驚きました。

この本のレビューでは、「グロテスクなだけ」という低評価のものもありましたが、そう捉える人もいるでしょう。確かに自害の描写については若干グロテスクな部分もありますが、人が死ぬ時というのは(状況によりますが)そのようなものだと思います。私はグロテスクさを感じることなくその描写さえ美しいと感じました。

憂国は「花ざかりの森・憂国」という短編集の中のひとつの話ですが、私はそれしか読んでいません。最初の「花ざかりの森」はちょっとよくわからなかったので途中でやめてしまいましたが、本は全て読むのではなく、読みたいところだけ読むだけでいいと思っています。

この本は三島由紀夫自身が選んだ13個の短編が載っていますので、気になる方は読んでみてはいかがでしょうか。たった700円程度でこのような素晴らしい話が読めるのは、文庫本のいいところだと思います。

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