ブラックホールと時空の方程式

物理

ブラックホールと時空の方程式

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

今回はいつもと趣向を変えて物理のお話になります。特に天文学、その中でも最も一般的に知られていると思われる「ブラックホール」についてです。

ググればブラックホールについての説明はいくらでも出てきますが、あえてここでひとつページを増やしてみたいと思います。

私は曲がりなりにもブラックホールを研究していたことがありますので、一般向けに出来る限りわかりやすく伝えたいと思います。

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ブラックホールとは何か

まずはここからですよね。

ブラックホールを一言でいえば、「重力崩壊した星の死骸」です。そして空間にできた、時空の穴です。

ここで言う「星」というのは「恒星」のことを指します。恒星というのは自ら輝くことのできる星のことです。

太陽系でいえば、恒星は太陽だけです。残りの星、地球を含めた太陽系の星は、「惑星」と呼ばれます。

恒星が光る理由は、恒星内部で核融合反応によりエネルギーが作られ、それが外部に放出されているからです。そしてそのエネルギー源は無限にあるわけではありません。いつの日かエネルギー源を使い果たし、その星は最期を迎えます。

星は、その質量によって様々な最期を迎えます。その中のひとつにブラックホールがあります。

ブラックホールになれる星は、太陽質量の20-30倍以上ないとなれないと言われています。つまり太陽はエネルギーを使い果たしてもブラックホールにはなれないのです。

ブラックホールは存在するのか

これはほぼ間違いなく存在します

まずブラックホールは自ら光らず、外部からの光を反射することもないので、直接見ることができません。そのため、間接的な観測からその存在を明らかにする必要があります。

見えないのにどうやって観測するのか、と思うかもしれませんが、ブラックホールは見えなくとも非常に活発な活動を示します。なぜ非常に活発な活動を見せるのか、それはありえないほど重力が強いからに他なりません。

重力が強いと様々なものを引き寄せます。星すら飲み込んでしまいます。しかし飲み込むといっても一気にすっぽりと飲み込むのではなく、星の外層を剥がしながら徐々に徐々に飲み込んで行きます。

そのためブラックホールの周りには星の外層から放出されたガスの降着流ができます。その降着流はブラックホールの周りに円盤状に蓄積され、降着円盤と呼ばれるものを形成します。

この降着円盤はブラックホールの周りを非常に高速に回転します。ケプラーの法則により、ブラックホールに近い箇所ほど回転速度が速くなります。つまりブラックホールからの距離によって降着円盤の回転速度が異なるのです。

この速度差によって降着円盤内のガス同士で摩擦が生じ、非常に大きなエネルギーを生み出します。それによりブラックホールは見えないにも関わらず、その周囲、つまり降着円盤が非常に明るく輝くのです。エネルギーが非常に高いため、X線領域で特に明るく見られます。

それを観測することで、ブラックホールが存在する、ということを間接的に証明できるのです。

そして近年、強い重力場における一般相対性理論の正しさを裏付ける観測結果によりノーベル賞を得た観測方法があります。それが「重力波」による観測です。

重力波による空間の歪みは非常に小さく検出は困難を極めましたが、研究者のたゆまぬ努力によりついに検出されたのです。その検出精度がどれだけかというと、地球と太陽の間の距離がわずか原子1個分変化することを検出することに相当します。これによりブラックホールの存在も決定的になりました。

中性子星同士の合体による重力波の観測
いつも読んでいただき、ありがとうございます。最近重力波の話題がたくさん出ますね。今年のノーベル物理学賞も重力波の観測でした。ただし、重力波を初観測したのは中性子星同士の合体によるものでは...

ブラックホールになる理由

ブラックホールになるためには、太陽質量の20-30倍程度ないとなれないと先に言いましたが、その理由を説明します。非常に概念的な説明となってしまいますがご容赦ください。

通常の恒星が球体として存在しているのは、恒星内部の核融合反応のエネルギー生成から発生する外向きの力と、重力による内向きの力が釣り合っているためです。

エネルギー源となる物質は有限であるため、核融合のための物質を使い果たすと外向きの力がなくなります。核融合に使われた物質はなくなるわけではなく、異なる物質に変化して残るため、重力は変わりません。つまり重力優勢になるということです。そうすると星は重力に負けてどんどん縮んでいきます。

質量があまり大きくない星であれば、重力は星をある程度圧縮するところまでしか作用しません。そこで星の収縮は止まり、その星は生涯を終えます(ものを縮める時、小さくすればするほど大きな力が必要であることは経験上わかると思います)。

しかしながら質量が大きい星の場合、重力は容赦なく星を圧縮し続けます。その過程では化学反応や量子論的な現象が様々起こりますが、結果的に自分自身の重力に負けてしまい、極限まで潰れてしまった星がブラックホールとなります。

つまり、ブラックホールとは自分自身の重力に負けた星の末路です。

なぜブラックホールについての記事を書いたか

新しく発売された本に触発されてしまったからです(笑)

もともと宇宙が好きな私にとって、ブラックホールというのは非常に魅力的な存在でした。それについて研究できればと思い大学院まで進学しましたが、そこでまざまざと見せつけられてしまったのは学力の壁でした。

ブラックホールなどの研究を仕事にして食べていける研究者はごく限られています。そしてその研究者になれるのは、非常に頭のいいごく一部の人か、死ぬほど勉強した人だけ、ということに気付かされました。私は全くもって頭脳明晰な人間ではないので、死ぬほど勉強しなければいけなかったのですが、程々にしか勉強しませんでした。

そのため、そのような人たちには勝てないと悟り就職の道を選んだのですが、未だにちょっと諦めきれていない自分がいます。そこで趣味としてブラックホールや相対性理論に関する本で1人ちょくちょく勉強したりしています。

その中で、最近非常にわかりやすい、かつ単なる読み物ではなく数式もきっちりと追った挑戦的な書籍が発売されていたのを見つけてしまいました。ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論と言う本です。その本を読んでみたところ、また宇宙について勉強したい気持ちが触発されてしまいました。

速攻その本を購入し、まだ全てを読んだわけではありませんが、非常にわかりやすい書物となっています。本のタイトルに「15歳からの〜」とありますが、中学高校程度の数学はそれなりにきっちりと理解していないと読み進めるのは少しつらいかもしれません(私は専門でやっていたので一応スラスラ読めますがw)。

ブラックホールについて知りたいけどブルーバックスのような読み物だけでは足りない、もうちょっと踏み込んで数式レベルまで知りたい、という人にとってはとてもおすすめできる本だと思います。

気になった方は、一度書店で読んでみることをおすすめします。結構専門的な内容なので、そこそこ大きい書店でしか扱っていないと思いますが、内容を見ずに欲しいと思った方はAmazonでポチっちゃいましょう。数学部分についても非常に優しく書かれているため、数学のいい復習にもなりますよ。

そしてこの記事のタイトルは、その本のタイトルをそのまま拝借しましたことを最後に付け加えておきます。

またちょこちょこ宇宙やブラックホールに関する記事については書きたいと思います。

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