いつも読んでいただき、ありがとうございます。
2019年に発売されるiPhoneに搭載されるであろうA13チップのベンチマーク予想をしてみます。ベンチマークソフトはGeekbenchです。
なお、この予想は完全に私の独断と偏見です。どこからかのリーク情報とかではないので、あまり期待なさらずに読んでいただければと思います。
歴代iPhoneのGeekbenchによる性能
さて、まずは歴代のiPhoneに搭載されているCPUの性能の比較と、2019年に発売されるiPhoneの性能予測を見てみましょう(SoCという言葉を使った方が正しいのですが、CPUの方が慣れ親しんだ言葉ですのでCPUで統一します)。
iPhone | CPU | シングルコア | マルチコア | 性能向上率(※) |
2019年 | A13 | 5800 | 17000 | 51% |
XS | A12 | 4797 | 11268 | 11% |
8 / X | A11 | 4225 | 10189 | 76% |
7 | A10 | 3441 | 5794 | 37% |
6s | A9 | 2409 | 4217 | 74% |
6 | A8 | 1421 | 2418 | 13% |
5s | A7 | 1264 | 2146 | 77% |
5 | A6 | 754 | 1210 | 246% |
4s | A5 | 284 | 492 | 2倍以上 |
※性能向上率は前モデルとのマルチコア性能を比較
(via Geekbench)
毎年着実にスペックアップしていることが読み取れると思います。ただ、よくよく見てみると、あまりスペックアップしていない年とかなりスペックアップしている年があることがわかると思います。それらは毎年交互に繰り返されていますね。
つまり隔年で、そしてCPUの数字が奇数のときに大幅なスペックアップをしています(A5からA6へのスペックアップは特殊ということで)。この表にA4はありませんが、A4からA5の時もかなりスペックアップしていました。その理由は、iPhoneのCPUはA5を搭載したiPhone 4sで始めてマルチコア(2コア)となったためです。
そして次のCPUはA13となるので奇数となります。つまり今までの傾向から考えると、A13では大幅な性能アップが見込めると予想できます。
ここではシングルコアでのスコアはA12と比較して20%程度の性能アップにとどめていますが、マルチコアについては効率コアのスペックが高くなると予想して約50%アップと予想しています(効率コアについては後述)。
A13は本当に大幅な性能アップを見込めるのか
しかしながら、最近のiPhoneは非常に高性能となっていて、今までと同じ割合でのスペックアップというのは技術的に難しくなってきているのではと思っています。
例えば、iPhone XSに搭載されている最新のA12 Bionicは、回路線幅というものが7nmプロセスで作られています。この値が小さければ小さいほど搭載できるトランジスタ数が増えてスピードが上がり、かつ電気抵抗も減少して消費電力も低減されます。
であれば回路線幅をどんどん小さくすればいいじゃないかと思いますが、10nmプロセスや7nmプロセスなどの半導体の微細化は、量子効果を考えるとかなり限界の域に達してきているらしいです。つまりこれ以上の微細化は物理的に不可能な域に達してきていると考えられます。
そのため今後も今まで通りのスペックアップをするためには、半導体の微細化とは異なるアプローチを取らないといけないのではないかと思っています(何かしらのブレークスルーが必要)。なお、私は半導体についてはど素人ですので、間違っていたら指摘をしていただけると助かります!
コア数を増やす
性能アップのためにまず単純に思いつくのはコア数を増やすことですね。
しかしバッテリーとの兼ね合いから考えると、iPhoneで性能コアを2コアから増やすということは考えにくいと思います(ちなみに2018年に発売されたiPad Proは性能コアが4コア)。そうすると効率コアをスペックアップさせるのかな、と考えられます。
ここで性能コアと効率コアという言葉を使いましたので説明します。
性能コア
性能コアというのは、今までのiPhoneやPCなどで使われている通常のCPUコアと考えていただいて差し支えありません。このコア数が増えれば増えるほど性能アップが期待できます。負荷の高い処理をする場合に使われます。
効率コア
特殊なのが効率コアです。こちらはA10 Fusionから搭載されていまして、負荷の低い処理をする場合に使われる、あまり処理性能の高くないコアとなります。その分消費電力も低いため、性能コアと効率コアをうまく使い分けることにより、バッテリーの持ちをよくすることができます。
以下の図を見ていただくとわかりやすいかと思います。
(via マイナビ Mac Fan)
総論
おそらくですが、バッテリーの持ちや発熱を考えなければ今の製造プロセスでのスペックアップはまだ可能だと思います。しかしながらそういうわけにもいかないので、今後のスペックアップについては別の方向に進むのではないかと考えています。
理由として、A11 Bionic からA12 Bionic への性能アップについては、Geekbenchの数値からはCPUの処理能力はほとんどと言っていいほど向上していないことがあげられます。GPUについてはそれなりに性能アップしたようですが、特筆すべき点はニューラルエンジンの性能アップでしょう。こちらはなんとA11から9倍もの性能アップをしているとのことです。つまり今後はCPUの処理能力そのものよりも、機械学習などAI関係の部分、およびARのためのGPU性能を強化するための性能アップにシフトしていくのではないかと考えられます。
まだA13についてのリーク情報はほとんど出てきていませんが、回路線幅はA12と同じ7nmプロセスになるとの情報はあります。そのためCPUの性能アップはここで予想したほどにはならない可能性がありますが、ニューラルエンジンの性能アップなどベンチマークの数値だけでは判断しずらい部分での大幅な性能アップをしてくるのではないでしょうか。
そろそろ次期iPhoneのリーク情報も出てくる時期になってきていますので、色々な情報を楽しみにしましょう。